特集 退院時の産褥指導
当部における退院指導のあり方と実際
大阪大学医学部付属病院分娩育児部助産婦一同
pp.12-15
発行日 1972年12月1日
Published Date 1972/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204446
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はじめに
当分娩育児部は産科のみの単科で,分娩室,新生児室,褥室より構成され,月間分娩数40前後。褥室は10床の総室。スタッフ17名は全員助産婦である。母児異室制をとっており,基準看護を行なっている。退院指導は産褥の5〜6日目に1〜1.5時間行ない,助産婦1名に対して褥婦1〜3名の個別指導である。
個別指導とはいっても限られた時間内に何もかも盛り込むことは不可能であり,とりわけ体力が回復していない時期の褥婦に集中的な話をすることは理解力の点からも疑問が残る。この貴重な時間をより有効なものとすることは入院中の指導を基盤的することによってのみ解決されるのではないかと考えられる。通常産褥指導は褥婦が離床した時より始まり,それは退院までの全期間,あらゆる機会を通じて適切的行なわれ,その中で褥婦自身によって主体的に見,聴き,手で触れ得たことのみが真に身についたものとして残るのだという指導の姿勢こ立つ私達は過去数年来,家族計画,沐浴指導,調乳指導等は別とし,指導内容の中で日常化の可能なものはできる限り日常の流れの中に組み入れ,そうした中で褥婦自身に一つでも多くのことを施設内で具体的に体験させ,その中のいくらかは入院中的習慣化し,家庭でも応用できるようにとスタッフ問で話合いを続け,少しづつではあるが入院中の指導内容を変化させてきた。
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