くりにかるふぁーまころじー・11
プラシーボ
佐久間 昭
1
1東京医科歯科大学
pp.1223
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919385
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プラシーボ(placebo)とは,もともとはラテン語で‘あなたを満足させてあげましょう’という意味の言葉である.英語では‘ものまね,偽善者,おべっか使い’といった意味で使われはじめ,19世紀ごろから,医学の領域では‘ありきたりの方法,患者に本当に役立つというよりは患者を満足させるために用いる薬’という意味を持つようになってきた.
現在の医学では,プラシーボの定義はさまざまであるが,‘本来の薬としての活性を欠いた物質であるが,あたかも本来の薬であるかのように用いられるもの’といったあたりに共通点が認められる.このため,本当の薬を実薬と呼び,プラシーボを偽薬と呼ぶ習慣もあるが,偽薬だけでは言い足りないところもあろう.プラシーボをなんらかの意味の医療に用いるまでは,物質としてはダミー(dummy)と呼ぶことが正しいのだという主張もあるが,プラシーボとダミーないし偽薬は,ほぼ同じ意味で用いられているのが普通であろう.
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