特集 病児と遊び
病児の遊びと保育—幼児後期の入院児の遊びと集団遊びへの導入
中野 智津子
1
,
神田 加代子
2
,
山田 道子
2
1神戸市立中央市立民病院看護科
2兵庫県立こども病院幼児病棟
pp.1257-1265
発行日 1980年12月1日
Published Date 1980/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919108
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はじめに
子どもが,遊ばない,遊べない,といわれるようになって20年近くなるという.子どもに遊びを取り戻そうと,小・中・高等学校においては,‘ゆとりの時間’が設けられたし,地域の中では,児童公園,児童館の整備,集団遊びの援助と,大人たちはやっきになっている.筋力や骨の弱い子ども,敏捷さがない子ども,不器用な子ども,子どもの非行の増加など,これら子どものもつ問題は,‘子どもたちは,遊びの活動をとおして心身を発達させ,集団遊びの中で自立心を養い,社会性,道徳性を身につけていく’という遊びの意義を,大人たちに再認識させたようである.
小児看護においては,小児科看護から小児看護に移行したときすでに,入院生活の中での子どもの遊びの重要性が確認されたが,十分に子どもたちを遊ばせていると言いきれる現状ではない.どうしたら子どもたちを楽しく遊ばすことができるかと,工夫や努力が続けられているが,病院という特殊環境では,遊びの要素である遊び場,遊び道具,遊び仲間,遊び時間を十分にそろえることができにくいことや,子ども自身が何らかの障害をもっているのだから,遊びを発展させることができなくてもしかたがないとする考え方に安易に流れる.
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