ホスピス イギリスの末期医療の現場報告・6
D. ドイルとの対話[2]—ターミナル・ケアにおけるコミュニケーションの問題
柏木 哲夫
1
,
Derek Doyle
2
1淀川キリスト教病院精神神経科
2St. Columba's Hospice
pp.630-634
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918979
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患者にも家族にも真実を告げなければならない
柏木 日本では,一般に癌であるということを家族には告げますが,患者には告げません.ですから,真実を告げられた家族は大変な重荷を背負うことになります.そして,しばしば医師は本当のことは患者に告げないようにと家族に言いますので,家族と患者との間のコミュニケーションに問題が生じます,このようなことについて,ドクター・ドイルはどのようにお考えでしょうか.
ドイル 連合王国(イギリス)においても,普通の病院では日本と同じような傾向にあると思います.例えば手術直後に外科医が患者の家族に,‘開腹をしてみましたが癌の広がりがとてもひどくて,何もできませんでした.しかし,このことは患者には言わないほうがいいでしょう’というように告げることが多いようです.私は,個人的には,このことは大変間違っていると思います.家族は大きな不安と心配に打ちのめされてしまいます.
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