ナーシングホーム アメリカ合衆国の医療と看護の実態・6
入院と退院の実態
岡本 祐三
1
1阪南中央病院内科
pp.636-639
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918980
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福祉・医療の象徴としてのアルムスハウス
アルムスハウス(alms house)というものについて,いま少し触れたいと思います.というのは,アルムスハウス(社会福祉の分野では‘救貧院’と訳されることが多いようです.almsとは施し物の意)はアメリカの社会の福祉・医療の歴史の象徴というべきものの1つです.これをめぐる議論の中に,既に‘福祉サービスは在宅か施設か’という今日の日本の難病や老人問題にみられる議論の原型がみられるからなのです.
救貧院というのは,もともとはイギリス本国におけるかの有名な“救貧法”に発想を得て,植民地時代のアメリカに持ち込まれたものです.これらは,救貧院であるとともに,授産所,懲戒所をかねており,ここに集められた貧民たちは,労働可能な者と労働不可能な者とに厳しく選別され,労働可能な者は,すべて仕事につけられ,仕事を拒否すると,ムチ打ちによって処罰されました.
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