特集 老人のターミナルケア
老人のターミナルケアとソーシャルワーク—アメリカにおける事例を中心に
村山 冴子
1
1関西学院大学社会学
pp.480-484
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918949
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老人の死はゆるやかに訪れることが多い,そのため老人のターミナルケアは長期化しがちであり,また痴呆化などケアの困難を倍加するような問題が伴いがちである.そうしたことが一因となって,老人の死は,ときとして,家族にとってもまた老人自身にとっても‘救い’として受け止められることがある.例えば,家族にとって,それは多額の入院費や施設利用費負担からの解放であり,親や配偶者を施設や病院に入れたことで感じている罪障感からの解放,また頻繁に見舞いや付き添いに行くわずらわしさ,行かなければ行かないで感ずる罪障感からの解放を意味する,とユスバーグは指摘している1).
また,それは老人にとっても,役割や地位の喪失,それに伴う依存的立場への転落という不面目からの解放,施設などに入れられたことからくる恥辱感,身体的苦痛,能力の低下,機能喪失,配偶者の死などに起因する抑うつや絶望からの解放,を意味する場合があるといわれる2).
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