特集 病名を告げえない状況のなかで
自分自身のイメージに惑わされていた看護
日吉 あさ江
1
1国立埼玉病院内科病棟
pp.1278-1281
発行日 1979年12月1日
Published Date 1979/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918835
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はじめに
今勤務している一般内科病棟には肝炎や糖尿病などの患者にまじって,冑癌や肝癌などの病名をもつ患者が入院している.勤務をする中ですべての入院患者に対し訴えを聞いて,自分のできる範囲でそれに答えようとし,また患者のニードを把握しようと努めているが,‘ああ,この患者さんは癌なのか’という認識をもった瞬間から他の患者と同じに接しようとしても接しきれない場合があった。
癌患者の前に立った時まず,‘この人の前で疑問を持たせる不注意な言動はとれない’という戒めの言葉が浮かんでくる.楯を手に患者の前に立っているようなもので,何か危険を感じたらすぐ楯に隠れ,飛んでくる矢から身を守ろうとすることに似ている.
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