余白のつぶやき・3
地方の時代
べっしょ ちえこ
pp.1113
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918803
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‘シラケ世代’だの,‘熱中時代’だのキャッチフレーズというのは,どこのだれが考えだすのか知らないけれど,うまいものである.‘白ける’という古くからの自動詞を,シラケという片仮名の名詞にして見事若返らせたセンス.言語に魔性を与えるとはこのことだ.ほんとうは,そうした現象が支配的になったから止むを得ず名づけられたのではなく,強力なコトバで名づけられたものに,大衆がナダレを打って沿いはじめたというところだろう.
このフレーズの流行によって,シラケは最もナウなポーズということになり,多数派の活気ある若者たちまで怠惰の海に沈めてしまった.こんな文句を考え出したのは,おそろしく頭のいい体制側の回し者に違いない.
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