特集 家庭で死を迎える
家庭で安楽な死を迎えるために—死を悟り‘家に帰りたい’と願った患者の看護から
米沢 照子
1
,
佐藤 幸子
1
1神奈川県立成人病センター
pp.604-608
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918694
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はじめに
河野氏が‘癌患者や不治の病の患者で,最近は病院で死亡する人がふえてきている.(中略)癌患者の“死の過程”に参加する機会はほとんどない.(中略)このような社会状況の中では,患者は家庭の愛情につつまれて死を迎えることは段々できなくなっている現況である’1)と述べているように,昔に比べ多くの人々が病院で死を迎えている.家庭では身体的な苦痛の緩和をはかることやその他の医療行為を行うことが困難なため,病院で死を迎えている現状をしかたがないと,患者,家族そして看護婦も受け止めがちである.
しかし,自分の死を悟った時,他人に囲まれた病院ではなく,家族に見守られ自分の素直な感情を伝えられる家庭の中で死を迎えたいと願うのは人間の自然な感情ではないだろうか.
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