ひとりぼっちの遊学記—働きながら学んだイギリスの看護・5
小児病棟の子供たち
高橋 克子
1
1志村保健所
pp.546-548
発行日 1979年5月1日
Published Date 1979/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918684
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
死んでゆく子供の願いより母親の気持ちを優先する習慣に戸惑いました
ザ・ロイヤル・マルスデンホスピタルの小児病棟は,プリンセス・チューラー病棟と呼ばれています.フィリピンのチューラーというプリンセスの寄付金によって建てられたからです.10畳間ほどの大部屋が2つ,個室が4つあります.高さが自由にできるベッドで,各ベッドサイドの壁には,特に寒い日用にヒーター(もちろん中央暖房装置)がついています.
大部分の子供たちは白血病で,薬物療法や放射線療法を受けています.希望すれば家族の付き添いも許可になります.面会時間は制限がありません.大部分の子供は元気がなく(もちろん病気なのですから),子供特有の歓声や叫び声が聞かれないというのは,なんとも寂しいものでした.それでも,若いプレイセラピストを相手に病棟の遊戯室で静かに遊んでおりました.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.