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子供の偏食について
岩田 阿喜子
pp.55-57
発行日 1954年11月10日
Published Date 1954/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200845
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「御馳走樣」と席を立つ子供(小学五年男子)のお膳の前には,つけ合わせのキヤベツの線切りがちやんと残されている.他の人は豚カツだつたが,油つこいもののきらいなこの子だけ中身を鶏肉にしたので,どうやらおかずの方は食べたのだ.時には衣はむいて,中身だけ食べる事もある.一緒に食事をする時は叱つたり,せめたりして,とにかくお皿のものを無理に片付けさせるが強情に食べなかつたり,好きなものだけ,拾い出して食べたりすると,好ききらいのない私には,誠に我ままに思えて仕方がない.
育ち盛りの年令なのに,油つこい物は全然受けつけない.これは胃でも弱いのでないかと思つた事もあるが,別にそうした症状を訴えた事もない.野菜も大ていはきらい.一体に食が細く,トーストなら二切やつと,ごはんも一ぱい位.それでいて学校の帰りが夕方近くで,すぐそろばんを習いに出かけ,学校の給食の後,夕方まで間食もしない.しても量を過すという事はない.身長も体重もふえ方は少く,きやしやな体つきをしているが今のところ別に悪い所はない.
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