マイ・オピニオン
医療ソーシャルワーカーの眼から
丸毛 静香
1
1国立療養所村山病院
pp.1025
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918507
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長期慢性の運動器疾患患者にかかわる現場で看護を見ていて,ふと考えさせられることがある.私は看護を人間に関与するすばらしい職業の1つであると考えているし,事実,感服に価する婦長や看護婦を多く見ている.しかしその人たちの善意はいかにも素朴であり,専門職業的ではないと感じることがあるのも事実である.現代の複雑な社会機構のなかでは,人それぞれ顔が違うように生活様式や対人関係のもち方,問題にしている内容などが異なってくる.それへの看護婦の対応が,あまりにも‘素朴な自己’をだしすぎている(またはだしていないように思う).職場での好意や怒りなどの感情は,患者のために用いられるようコントロールされながら,しかも率直に表明されなければならないのに,と私は感じる.
精神看護がいわれたころ,熱心な看護婦は,カウンセリングやセンシティビティ・トレーニングにそれを学ぼうとした.それらは,看護という職務を遂行するなかで,いかに患者の訴えを客観的に,しかも表面と核心において的確に理解し,迅速かつ正確に判断をくだしうるかという点で用いられるべきであろう.それは,1つの問題に対して看護の守備範囲の中で応じるべきか,院内の医師・PT・ケースワーカーなどのスタッフに連絡すべきか,あるいは院外との連絡をも必要としているかなどの判断につながっていくと思う.
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