連載 医療ソーシャルワーカーの相談窓口から
医療ソーシャルワーカーの相談業務
田戸 静
1
1葛飾赤十字産院医療社会事業部
pp.87
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206807
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医療ソーシャルワーカーの日常業務では,患者との面接による「相談」活動が大半を占める。その「相談」活動の底流には2つの志向性がある。1つは,巨視的志向性とも呼ぶべきもので,人間の社会生活を総体的におさえ,その営みとの関連で対象を捉える。すなわち,ソーシャルワークの方法や技術を用いて対象の行動面や心理面,社会的諸条件を認識し,社会保障制度等の活用とその改善・改革を目指すものである。他の1つは微視的志向性と呼べるもので,社会成員としての営みに関連して人間個々人を捉える。すなわち,個々人の社会生活への適応と,その過程におけるパーソナリティの成長・発展を目指すものである。
この2つの志向性から相談内容を分析すると,ワーカー業務は次の二点に大別できる。第一点は,生活費,出産費(医療費)などをめぐる経済的問題から派生する生活問題で,ワーカー業務の60%前後を占める。第二点は,家族関係や学校・職場の問題などに由来する心理社会的問題で,これが業務の30%前後を占めている。次に,これら2つの業務をふくむ事例をあげてワーカーの相談内容を紹介しよう。
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