病める心の人とともに・8
青空がない,青空がない
羽生 りつ
1
1国立武蔵療養所
pp.861-864
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918470
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‘青空がない,青空がない,白い壁ばかりだ’と怒声まじりで独語しながら,病室からホールへと,またきびすを返して病室へと,行ったり来たりを,先ほどから繰り返しているのは男子患者のSさんです.
看護婦はナースステーションの中で,積み重ねられた数個のダンボール箱から書類を出して,その整理に余念がありません.ナースステーションを囲む大きなガラス窓に額を押しつけて,数人の患者さんたちが看護婦の行動を見つめています.
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