特集 自分の死を知った患者への援助
死に直面している患者から学んだこと
高野 満子
1
,
佐々木 恵子
1
,
田口 美絵子
1
,
佐伯 幸子
1
1国立がんセンター9A病棟
pp.269-272
発行日 1978年3月1日
Published Date 1978/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918345
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はじめに
現在の発達したマスコミや病院内での患者間の情報交換により,患者は癌についてかなりの知識を得ている.また,‘がんセンター’という病院に入院していることも,自分の病気は癌ではなかろうか,という強い不安を抱かせていると思われる.このような状況の中で最近は,患者は直接的に‘自分は癌ではないか’というような問いかけをしてくることが少なくなった,と感じるのは私たちだけであろうか.癌の宣告を受けずとも,自ら死を悟っていく患者が多いのではなかろうか.
当消化器内科病棟においては,死の転帰をたどる患者が多い.私たちは,このような患者にどのようなアプローチをしていったらよいか,明確な姿勢を打ち出しているわけではない.現在は,患者とのかかわり合いの中で,患者の‘病気や死に対する不安’などを感じた会話を意識的にプロセスレコードにとり,チームカンファレンスで取り上げ,看護婦それぞれが,その患者にどのように接しているか情報を出し合い,お互いに問題点を明確にした上で,なお,患者の気持ちを聞いていくことを確認するという方向をとっている.次にあげる事例はその1例である.
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