ホームヘルパー跳びある記・11
ふさちゃんという老夫人
星 美代子
pp.1178-1180
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918265
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人間1人1人異なった性格をもっていると同じように,社会を構成している1単位としての家庭もそれぞれの特質があり,それへのサービスも,老人を取り巻く環境,人間関係,生活習慣をよく理解しながら,徐々にとりかかるべきは,当然忘れてはならない大切なことだと思っている.こちらから性急に押しつけたのでは反感をもたれたり,招かれざる客になったりすることもあるだろう.そうなると本来の職務を遂行するわけにはいかなくなる.
きれいで立派な家であれ,汚れた粗末なアパラ家であれ,そこは1人の老人の居城なのである.そこへこちらから出向いて行くヘルパーは,なんといっても下手に出るといった格好だ.しかし私はそれでいいと思っている.謙虚さ,誠実さが何より大切であり,どんな職業でも同じことだが,老人に対して‘何々してやっているんだ’という思いあがりは自分ながらおぞましい.
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