ベッドサイドの看護 分裂病患者への援助
生き生きとした信頼関係を作り上げていく看護—精神分裂病患者の場合
小原 裕子
1
1杏林大学医学部付属病院精神科病棟
pp.491-495
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918146
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精神科看護の変遷は,精神医学がドイツ学派からアメリカ学派へと舞台を移していくにつれ,精神分裂病者は了解できない,つまり結局は治らないとされていたものが,そうではなく病者をその示す病像だけでなく全人格的に尊重しながら理解していく方向へと発展してきた.
しかし現実に精神分裂病者を前にして,病者を全人格的にとらえ尊重するという態度を示すには,どのように接近したらいいかという実際の看護の問題になると,どうしても看護者のその場での判断によることが多く,様々な問題と疑問を模索しつつ従事しているのが現実である.精神病者に対する理論構成がなされていない時代には超自然的な,例えば魔女を中心とする宗教的な見方等があったようだが,精神科領域を離れれば現在でも,病者のことについて‘あの人は変であり暗くて無気味だ’‘異様で近寄りがたい’などといった見方がされていることも事実のようである.
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