症例ライブラリー 緩和と手術が重なるとき
まとめ:術後の生活を作り上げる一員になるために
大畑 めぐみ
1
Megumi OHATA
1
1東京科学大学病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.948-949
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203055
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日本で緩和医療が始まった30年前,「がんは死に至る病」であり,がんの治療は専門病院でしか受けられなかった。緩和医療も“がん患者のためのもの”という認識が主流であった。2007年の「がん対策基本法」施行以降,がん治療の標準化と専門医教育が両輪となって進み,全国どの病院に行っても標準治療が受けられるまでになり,がんは慢性疾患となった。それに伴い,がん緩和医療も積極的治療に行き詰まり終末期に切り替えて行うものから,治療をしながら日常生活を送れるように早期から導入するものとなってきた。また,日本循環器学会/日本心不全学会からも『2021年改訂版 循環器疾患における緩和ケアについての提言』1)が公開され,がん以外の患者に緩和医療を提供しやすい環境も整ってきている。
多彩な慢性疾患を抱えた重症患者にもさまざまな手術が適応になる今,「麻酔はかけられる,手術もできる。でもこの患者さんには術後どんな生活が待っているのか…」「ここまで状態の悪い人に,本当に手術をしても大丈夫なのかな…」と思いながら,麻酔をするケースもあるのではないだろうか。
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