死への看護・5
配慮的人間関係の大切さ—自殺を企てた胃癌患者を通して
柏木 哲夫
1
1淀川キリスト教病院精神神経科
pp.497-501
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918147
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はじめに
自分の病気の性質を知っていると知っていないとにかかわらず,病気が慢性化し,苦痛が増してくるにつれて,患者の心は大きく動揺します.しかし,私たちの経験では,そのために自殺を考える患者はごく少ないようです.‘もう死んでしまいたい’という言葉は,末期の患者がよく言う言葉ですが,それは多くの場合,自殺を考えるというのではなくて‘死ぬほど苦しい’ということを意味するのです.しかしスタッフはいつもこの‘死んでしまいたい’という言葉を真剣に受けとめなければなりません.私たちの経験では,家族またはスタッフとよい人間関係を持っている患者は,自殺を考えないといえそうです.癌との闘いの過程で,ついに自殺を図った1人の患者を通して私たちが学んだことを述べてみます.
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