くすりの毒性・9
バルビタール—薬物耐性
高橋 日出彦
1
1東京医科大学生理学科
pp.955
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917974
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薬にも人の運命と同じく栄枯盛衰があります.一時もてはやされたものの,今では省みる人もない薬が多いのです.しかし,少教ですが,半世紀にわたって盛んに使用され続けている薬もあります.こういう薬の代表と言えば,アスピリンとここで取り上げるバルビタール,あるいはバルビツール酸誘導体でしょう.バルビタール類は,鎮静・鎮痛剤,抗癲癇剤,睡眠剤として,現在でも盛んに使用されています.
薬が長い星霜にたえて世に流通するには,その作用が卓越しているだけではなく,安全性の上でも優れていなければなりません.しかし永い間使用されてきた薬剤でも,副作用や毒性が皆無ということはないばかりか,ずいぶん後になってから新しく毒性が発見されることもありますから,手放しで安心というわけにはいきません.
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