特集 患者の生活の場へ—訪問看護の実践
‘在宅看護研究会’の組織と活動
木下 安子
1
1東京都神経科学総合研究所社会学研究室(看護学)
pp.453-456
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917870
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.在宅看護研究会の誕生
昭和45年8月,朝日新聞東京本社の講堂で1つの講演会がもたれた.‘神経病総合センター設置促進講演会’である.
会場に集まった人々の大半は明らかに身体上の不自由をもっていた.全国スモンの会,東京進行性筋萎縮症協会の会員たちである.そして美濃部東京都知事の登壇を待っていた.その期待のまなざしを受け,都知事はあっけないほどはっきりと‘神経疾患患者のための施策に着手する’と発言した.患者会が準備した要望書は手渡されたが,既にその必要さえないほどであった.本当だろうか?と互いに顔を見合わせていた患者さえいた一幕であった.しかし,事実この会での都知事の発言は行政レベルで実現されていった.既に43年6月,重い心身障害をもつ児童および成人を収容する施設として‘府中療育センター’があり,その在り方の検討と併せて,後天的原因による神経疾患(心身障害)患者を対象とする神経病院,およびこれらの対象者の疾患,障害の基礎的研究や予防・治療・リハビリテーション・看護・福祉のための応用的研究を行う研究所,の3施設が同じキャンパスに置かれ,協力関係を保つことができるよう計画が推進された.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.