Medical topic
二重盲験法,他
F
pp.108-109
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917637
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薬をのんだら病気が治った。病気が治ったのは薬のお蔭だと思うのは無理からぬことである。しかし薬をのまなくても病気は治ったのでほないか,と開きなおられると,どう答えたらよいであろうか。もし放置しておいても治ってしまうような病気の患者に,タイミングよく,うどん粉のようなものを与えて,「この薬をのめばすぐ治りますよ」と医師が説明したら,たいていの患者は,この薬(うどん粉)のお蔭でよくなったと信ずるであろう。だからといって,うどん粉がこの病気に有効であったと判断することはできない。このような誤りを避けて,薬の効果を正しく判断するために考えられたのが二重盲験法である。
その実際を降圧薬の効果判定に例をとってみよう。高血圧の患者をA群,B群の2群に分けて,A群には実際の降圧薬の錠剤を与える。B群には外見は全く同じ形であるが降圧薬を含んでいない錠剤(これを偽薬,placeboという)を与える。この場合患者が本当の降圧薬を服用しているのか,偽薬をのんでいるかは全くわからないのは当然である。二重盲験法ではさらに診察する医師にも,どの患者が本当の薬,どの患者が偽薬を服用しているかわからいようになっている。このような医師が血圧を測定し,一定の期間の後に,血圧の低下の程度をA群とB群とについて比較する。
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