ピリドキサール燐酸の皮膚疾患への応用—脂漏性皮膚炎に対する二重盲験法

TREATMENT OF DERMATOSES BY PYRIDOXAL PHOSPHATE : DOUBLE BLIND TEST FOR SEBORRHEIC DERMATITIS

I．はじめに

　V B₆が鼠の抗皮膚炎因子として分離，合成されて以来，皮膚の生理機能保持に，V B₆が重要な役割をはたす事は周知のところであり，現在V B₆は種々の炎症性皮膚疾患特に脂漏性皮膚炎，湿疹，痤瘡，蕁麻疹等に広く用いられ，有効例が報告されている。

　V B₆にはpyridoxine・pyridoxal・pyridoxamineがあり，普通使用されているV B₆剤はpyridoxineである。このものは生体内でATP存在のもとに燐酸化して活性化され，主としてアミノ酸代謝に補酵素として関与する。特にpyridoxal-phosphateはGOT，GPTなどのTra—nsaminase，GDH，Kinureninase等の補酵素として重要なものである。よつて治療面でもpyridoxineよりpyridoxal phosphateを用うる方がより合理的で高い効果が得られる。