看護の視点 ナースの「戦争と平和」
戦時ナースの手記
召集令
金子 房
pp.15-17
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917407
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わたしが大連の日赤を卒業した昭和15年は,紀元は2600年。国をあげての政治的大デモンストレーションの中で,日支事変は進行していた。中国に進撃した日本軍は行くところ敵なし,新聞は毎日のようにお祭気分で華ばなしく戦果を報道していた。当時のわたしにはそれらの報道が正しいか間違っているか,またなぜ日本の軍隊が中国を侵攻しなければならないのか,そういった批判がましい考えなとは,思いもよらぬことであった。ひたすら,忠君愛国を経とし,博愛慈善を緯とする『赤十字精神』にもえていた。
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