特集 小児の入院と成長・発達
小児看護の歴史と現状
常葉 恵子
1
1聖路加看護大学
pp.880-883
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917324
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はじめに
小児看護の歴史について書くことに,私が適当かどうか分からないまま,経験と少しの資料をもとにして,特に小児の入院生活に焦点を当ててまとめてみたいと思う.終戦の翌年から,学校保健を振り出しに約27年間の小児看護とのかかわり合いを,今振り返ってみると,やはり何かひとつの変遷を感じる.
看護が患者の側から見直され,また看護とは何かということが真剣に考えられ,討議されるようになったのは,我が国においては,残念ながら戦後になってからだった.多くの問題を含みながらも,当時の占領軍であったアメリカ軍のGHQの指導のもとに,画期的な改革がなされたことは,高く評価されることだった.当時日本には,世界的な水準をもつ医学はあっても,患者のための病院がないといわれており,病院医療の代表的なものである国立病院が,現在のように一般国民のものでなく軍病院であり,日赤病院も,その働きの大部分が軍人・兵隊のために使用されていたことは一般によく知られていることだった.
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