助産婦事典
ビデの歴史と現状
高田 道夫
1
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
pp.446-449
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205406
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1.中世におけるビデ
1)ビデのはじまり
腟洗浄法がいつの頃から,どのような器具により,どのような目的で用いられてきたかは明らかではないが,Ebers Papyrus(1550BC)には,避妊を目的として蜂蜜とアカシヤとを材料にした腟坐薬らしきものが作られ,使用されていたことが記載されており,古くから女性が生みたくない子供を生むことを防ぐために創意工夫をこらしてきたことがうかがわれるし,男性側からも相手の女性が妊娠して当惑するといったことをなんとか避けようとして努力が払われてきた形跡がある。腟内を洗うということは,もっと簡単なことであり,医学と名の付くものがなかった時代において,避妊を目的とした腟洗浄が日常生活の中で行なわれていたことは,容易に想像される。
文献上は13世紀に,豚の膀胱でバッグを作り,木製のノズルをとりつけたdouche bagなる器具(図1)が,腟洗浄によるcontraceptive diviceとして用いられたことが,Heister's: A General System of Surgery, London(1743)に記載されている。
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