ストレスと病気・3
ストレスと循環器
菊池 長徳
1
1東大分院・心療内科
pp.717-720
発行日 1975年7月1日
Published Date 1975/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917293
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はじめに
我々は何か不安なときとか,緊張したときにどうきを感ずることは,日常よく経験することである.昔は感情の座は心臓にあると思われており,喜びのときには‘心がはずむ’とか,悲しいときには‘心が重い’とか表現してきた.
このように,情動ストレスにより循環器が非常に影響を受けやすいことは,古くから知られており,例えば,Cannonが既に1934年に動物実験で確かめている.すなわち猫に犬をけしかけた場合に,血圧の上昇や頻脈を認めており,それは生体が非常な緊急の場にさらされた場合,緊急反応と呼ばれる交感神経系,アドレナリン系を中心とした一連の反応が起こるとしている.このような場合,動物は逃げるか闘うかのいずれかであるが,前者は不安,後者は怒りの感情と関係する.
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