特集 看護婦の主体性をはばむもの
手術承諾書の存在を恥じよ
星 美代子
pp.679-682
発行日 1975年7月1日
Published Date 1975/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917283
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体制の中の異物
23年6か月の看護婦生活に終止符を打って,従来とはまるで変わった隠者のような山里暮らしを始めた.その第1日目の日記に私はこんなことをしるしている.‘ああ,明日からは白衣を着ないで済む,元旦の朝も大みそかの夜も……久しぶりの休暇だ,いや野に放たれたけもののように伸び伸びとした気分だ.ひととき晴れた梅雨の夜空,黒々とそそり立った山々の頂に星が光っている’昨年7月初旬であった.
23年余の職歴は決して長いほうではない.私は人より遅く職に就いたし,世にいう定年退職までは今10年残されている.しかし職業というものは,ただ自分の経済的理由や単に辞めたくないから続けていいというものでもない.もとより自分が好きで選んだ道であったし,当然のことながら,それを大切にし伸ばしてゆく努力も微々ではあったけれどしたつもりである.
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