検査室メモ
捨てる前に
広明 竹雄
1
1国立東京第一病院研究検査科
pp.684
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916212
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かつてのわれわれは,「靴の半張り」という熟語があるように,靴は底革を張り替えてはくもの,男子服は裏返しに仕立て直して着られるもの,と思い込んでいたし大多数の市民は,このような物を身に着けるのが常識であった。
しかし現時点で,ティーンエジャーにこれを理解させることはおそらく不可能であろう。世は正に使い捨ての時代なのであるから……。科学の進歩は,量産と合理化による製品のコストダウンを促進し,その傾向は増々強まっているため,高い人件費をかけて修理するよりも,新品を買った方が安い上にニュータイプの使いよい物が入手できるようになった。この現象は,単に衣類などの身の廻り品にとどまらず,すでに自動車にまで波及している。また,われわれの職域で使用する器具類もその例外ではなく,シャーレ,スピッツグラス,注射針,メス,ハルンコップなどをはじめ,膿盆や試験管立にまで使い捨ての波が押寄せている。
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