ベッドサイドの看護
依存度の高い患者のリハビリテーション看護
金谷 智恵子
1
1西能整形外科病院
pp.1407-1412
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916801
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患者中心の看護が強調されている今日,臨床の場にあって,遭遇する問題のなかで,‘依存度の高い患者に対して,限られた看護力でいかに対処するか’は大きな問題である.1人の社会人が入院し,患者という名が冠せられると,従来の社会的役割から隔絶されて病院という特殊な閉鎖社会での住人となってしまう.私たちも今まで疑問を持たずに,この閉鎖社会での看護の役割を担当してきた.一方,医師・看護婦を客に仕えるサービス業としか受け取っていない患者も見受けられる.最近は老人医療の無料化と核家族化という社会的現象のために,純粋に治療の場として,病院が利用されない場合も起こりつつある.
西欧諸国における患者は,宗教的背景から,贖罪的観点に立って,自主的に闘病生活を送り,克服するといわれているが,わが国ではそのような傾向はあまり見られない,この点に着眼し患者の実態を把握しながら‘病気は誰が治すのか’という医療の原点に立った看護の展開を図るべきではなかろうか.社会生活への復帰のために患者の役割をどのように考えて看護をすすめていくべきかについて,検討がなされる必要があるように思われる.ベッドサイドにおける看護とくにリハビリテーション看護では,こうした現実をふまえて,患者のニード(need)とディマンド(demand)を区別する必要を感じるので,その1つとして依存度の高い患者の例を報告します.
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