連載 看護のための集団力学入門・13
社会的勢力の消長—リーダーシップ(1)
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.510-516
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916629
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新人のとまどいとリーダー
わが国の4月は,多くの集団に新しいメンバーが加わる時である.大学や学校では新入生,会社や病院では新しく採用された人びとがその集団のメンバーとして受け入れられる.しかし,たいていの新人は,既存の集団雰囲気のなかに,どうしたらとけこめるかを考えながらも,はじめは身のおき所のないような,誰もが相手にしてくれないような,奇妙な不安を感ずるものである.
この新入者の不安は,入学試験や採用試験の合格によって承認された資格にふさわしい役割がうまく達成できるかどうかという個人の側の緊張から生ずるだけでなく,その集団がもつ特有の持続的関係からもひき起こされる.集団の凝集性の強い所であれば,新人を(ほとんど無意識的だが)異分子として見なしてしまいやすく,よそよそしい態度が出現することもある.それは,前からのメンバーの性質が排他的であるためというよりも,人間関係の安定を維持しようとする集団力学的な傾向(集団ホメオスティシス)のゆえである.
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