看護のための集団力学入門・9
人間関係の構造と発達
岡堂 哲雄
1
1聖路加看護大学
pp.1644-1650
発行日 1972年12月1日
Published Date 1972/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916529
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人間関係の方向性
前号で述べたように,人びとはさまざまな願望と目的の複合によって生ずる動機の力で社会的な相互作用を行なっている.集団力学は集団とそれを構成する個人とのダイナミックな関連を問題とするわけだが,ここでは前号に引き続いて個人の心理に投影した集団の影響を,個人の人間関係的な特徴としてとらえ,その構造を解明し,あわせて社会関係の発達を考えてみることにしよう.
どんな社会であっても,それを構成する人びとには社会的な行為のしかたを特徴づける人間関係のかたちがある.日本人らしさという集合的な特徴ばかりでなく,日本人集団のなかにいる個人の人間関係の構造もまたその人らしさを示している.ある人は常に,誰か他の人と一緒にいたいという基本的傾向を示すかもしれない.また,ある人はなるべく他の人とかかわりたくないという基本的な姿勢をもちつづけるだろう.このように,個人の対人的態度にはさまざまな方向がみられる.
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