人間関係・4
‘人間関係’が治療する(2)—人間関係の第2命題
大段 智亮
1
1看護人間学教室
pp.603-607
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917899
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I.フェレンツィ的治療態度──心理療法と人間関係──
人間関係の意義が最も明確な形になったのは,現代の治療心理学,とりわけカール・ロージャス(C.Rogers)のクライエント中心療法の業績のなかにおいてだと思う.ロージャスについては,他の書物で(“続・わたしの助力論”医学書院から近刊予定)少し詳しく解説したのでここでは述べないが,現代の治療心理学の領域において,この‘人間関係’の治療的意義を強調する人は,ロージャスばかりではない.‘心理学における第3勢力’とマズローが呼んでいる人たちは,多かれ少なかれその基本的立場のなかで‘人間関係’に大きな意義を与えている.ここでは,ロージャス以外の人を紹介してみたい.まず,シグムント・フロイトの直弟子,サンドール・フェレンツィと,次に現在‘関係療法’の名で呼ばれているフレデリック・アレンの2人をあげよう.
フロイトといえば,治療法としての精神分析と新しい立場としての深層心理学を確立した人であり,20世紀をつくったのは,マルクスとフロイトの2人だといわれるくらいだから,今さら説明の必要もないであろう.フロイトの精神分析的な考え方ややり方に根ざしたものは,いま,私たちの周りにあふれている.
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