——
看護婦が患者になる時
山田 真知子
1
1東京衛生病院
pp.1319-1321
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916459
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
いよいよ‘まな板の鯉’ 午後6時,いよいよ‘まな板の鯉が,実現してしまう.気軽にやるとは言ったものの‘やはり患者の心境とはこうなのかな’とすべてを熟知しているはずの本人も,どうも落ち着かない.前投薬が効いて,口の中はカラカラ,何となくポワーンとしてからだが浮いた感じがする.脱力感とも言えぬ一種の奇妙な麻薬の作用を感じる.
ついに背中に麻酔の針を刺され(非常に痛いのではないかと想像していたが,全然痛くなかった),2.2mlと言っている声を耳にする.ハハーン,液量は普通だなと知る.からだの自由が効かなくなってきた.足先から暖かみを感じ,そして次第にしびれていった.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.