ナースにとっての臨床検査・1
医療と臨床検査(1)
寺田 秀夫
1,2
1聖路加国際病院内科
2聖路加国際病院臨床病理科
pp.1060-1061
発行日 1972年8月1日
Published Date 1972/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916412
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医療における臨床検査の意義
病院の診療レベルを知るもっとも良い方法は,その病院の臨床検査部がどの程度充実しているかを知ることである.それほど現在の医療における臨床検査の占める役割はきわめて大切である.
昔の名医は患者のおなかを触っただけで,初期の噴門癌をみつけたり,また某大学の名誉教授はX線フイルムを見ずに,右肺尖部にある肺結核の空洞を発見したなどいう話は,時に聞かされたが,現在の医療においても患者を診察する際,丁寧な視診,触診,聴打診が一番大切なことは,昔と変わりない.しかしそれと同時に患者からの生きた材料例えば血液,尿,胃液,腹水,喀痰(これらを検体とよぶ)などについて,いろいろ検査して,また必要に応じてX線撮影,心電図などを行ない,その患者の体内に起こっているいろいろの変化を,より正確にまた詳しく知ることによって,初めて正しい診断ができ,適切な治療が行なわれるのである.
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