カラーグラビア 彩色医療図絵
江戸時代の骨格模型
石原 明
1
1横浜市立大学医学部
pp.5
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916012
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研究用とはいえ,本物の人骨標本を所持することが社会通念として困難であった江戸時代に、真理追求の一念から木製で精巧に模写した骨格が3体現存する。寛政5年(1793)に星野良悦が作らせ、江戸に持ってきて杉田玄白らに激賞されたものはいま広島に現存している。ついで大阪の整形外科医,各務文献(かがみ・ぶんけん,1765〜1829)が2体作った。はじめは実物3分の1の大きさに作り、家蔵とした(福見太郎氏現蔵)が、さらに等身大のものを作り実物同様に色付けして竹釘や針金で連結したみごとな模型を自著の“整骨新書”とともに1810年ごろ、幕府に寄付した。今日では骨盤の右半分と右足骨,その他の小骨が欠けているが160年前のおもかげを留めて東大医学部標本室におかれている。医学研究の資料としてまことに貴重な遺品といえよう。
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