ドクター訪問
微細な看護の働き手となって欲しい—朝日賞を受けた島田療育園院長 小林提樹先生
岡本晃一
,
本誌編集室
pp.113
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914822
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都心をはるか離れ山あい深く入った多摩町に重症心身障害児ベッド228床の島田療育園がある。朝日賞受賞者にその名があった小林提樹院長の8年余にわたる仕事の場である。2重3重苦の,回復への兆ほとんど絶望的ともいえる障害児たち。この世に生を享け,それを享受できぬ一生を辿る子どもたちの生きつづけうる場を築きあげたこの人は,この賞によって報われたのであったか……
「社会福祉関係事業で受賞することが果して名誉であるのかどうか。医学,数学また歴史学など専門学領域の業積で表彰される方たちとは違いますね。これは学問じゃないです。道徳,モラル即ち身近かな日常性の問題で,それを賞揚するというのは現代社会が悪すぎるという反映ではないか。いたいけな生命を救うというごく常識的な仕事をつづけてきたというに過ぎない。ご苦労賞でしょうか。」温容謙虚,しかしサビの利いた感想。
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