書評
明神もと子 著「どんなに障害が重くとも—1960年代・島田療育園の挑戦」
橋本 圭司
1
1国立成育医療研究センター
pp.571
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200270
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重症心身障害児施設島田療育園(現島田療育センター)の初代園長小林提樹先生は,13年間,重症児の療育に当たり,重い障害をもつ子供たちの医療と福祉の道を切り開いた.この本は,著者である明神とも子氏が,児童指導員として同施設で勤務した際に経験したさまざまなエピソードが綴られている.
小林は,障害があるので容易ではないが,愛情を持って何らかの取り組みをすれば,伸びるし,伸ばさなければならないと考えていました.また,発達検査の網の目にはかからないが,あやされて声を出して笑う,音楽に合わせて手を振る,のように観察で捉えられる行動を小林は「下への発達」あるいは「根の発達」と表しています.そして,「快感情を捕まえて指導する.知的発育が低いからしかたがないと放っておいてはいけない」といって,顕微鏡的な微細な観察ときめこまやかなとりくみを求めたのでした.(本文より)
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