東西南北
痛み
百瀬 洋一郎
,
田中 林輔
1
,
阪田 寛夫
,
秋山 政司
2
1新国劇制作部
2報知新聞運動部
pp.9
発行日 1970年2月1日
Published Date 1970/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914764
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- 文献概要
痛みは,いずこを問わず本当に不快である。特に,歯科の治療を幼児が受ける場合は,小さな口を精一杯あけ,音と匂いと,そしてある程度の痛みを我慢しなくてはならない。普通は全身麻酔で行なわないので,子どもが自発的に口をあけて協力してくれないと治療は不可能となる。それ故,治療に先立って,まず,子どもが自ら進んで口をあけて治療を受け入れるように,訓練する必要がある。各々の子どもの個性によって,その指導方法も異なるが,わがままな子どもや恐怖心の非常に強い子どもの場合は,治療の必要性を理解させ,徐々に体験させるとともに,その子どもの自尊心に訴えるようにする。このようにして治療に慣れた子どもは,子どもながら涙ぐましい忍耐を示してくれ,思わず感心させられる。この目尊心こそ,幼児にとって痛みに耐えるための大きな力であり,さらにその努力が,わずかな治療期間中に,その社会性をも大きく成長させることが多い。
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