看護講座
患者の排泄の世話
吉田 時子
1
1弘前大学医学部付属看護学校
pp.46-49
発行日 1963年12月1日
Published Date 1963/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912088
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はじめに患者の排泄に関する看護婦の責任について,排泄は,人間の生命維持に重要な基本的欲求の一つである。排泄に故障があれば生活機能は乱れ,時に生命の危険を招くこともある。健康であれば,排泄は円滑に行なわれるのがふつうであり,また日常生活に何ら支障を来たすものでもない。しかし,排泄は一般に神経の働きに敏感であり,生活が変わると変調を来たしやすいものである。したがって患者の場合は,排泄に故障がおこりやすい。ヴァジニア・ヘンダーソン女史は,著書『看護の基本となるもの』の中で患者の排泄に支障のないようにつとめること1)を看護婦のなすべき基本的看護の第3番めに述べ,また,アメリカ看護連盟において,アルメダ・マーチン夫人を委員長とする委員会で作成された“21の看護問題”リスト2)の中に,排泄の円滑をはかるという項目をあげている。これでも明白のように,排泄を正常ならしめることは,看護婦のなすべき看護の基本的要素なのであるから,患者の排泄に対して看護婦は決して無関心であってはならないのである。排泄が順調であれば,それがいつまでも保たれるように,変調を来たせばその原因をさぐり早く回復させる。患者じしんの努力に負えない場合は,適当な方法を用いてそれを援助し,指導する。また積極的な世話をする。医師の治療を受けかつその処置の介助が必要な場合もある。
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