看護用具の工夫
骨盤牽引装具
細川 順子
1
1神戸大学付属病院整形外科
pp.72
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914440
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最近整形外科においては,脊椎疾患の増加に伴って,腰椎椎間板ヘルニアなど骨盤牽引を施行することが,比較的多いようですが,神戸大学においても,軟性コルセットを用いての牽引を常用しておりましたが,簡単に,しかも患者さんの苦痛を少しでも除去できればと思い,改良型を試作してみました。
腰椎椎間板ヘルニアを例にとり原因を簡単に説明しますと,椎間板は中心部にある髄核と髄核をとりまく線維輪および椎体軟骨板より成り立っています。髄核はゼリー状の軟骨で,脊椎の運動に際し弾力性を保たし,脊柱にかかる重力を分散し伝達する役割を行ないます。椎間板ヘルニアの原因は機械的要因も考えられますが,椎間板の退行変性により線維輪部に亀裂が起こり,髄核が後縦走鞭帯の外へ出ることを椎間板ヘルニアといいます。腰椎下部では脊椎は生理的に前轡の姿勢をとっているので,後方に起こりやすく,したがって発作初発時は腰椎前屈位すなわちファラーの体位で牽引することが望ましいと思われます。
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