Medical Topics
慈悲の限度,他
I・T
pp.96-97
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914168
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富めるもの,持てるものが,哀れなもの,貧しいものに施すこと,すなわち慈悲は,古来美徳としてほめたたえられてきた。光明皇后や照憲皇太后のライ者に対する慈悲を思うと頭がさがる。
私は先年ある国立ライ療養所を見学した。ライ者が負うている肉体的な,そして精神的な重荷は格別で,どんな点からみても同情に値する。その患者たちが,職員の配慮と尽力によって,療養のかたわら手ごろな作業に精を出し,家族的な生活を活発に営んでいるのは感激でもあり,感謝でもあった。ほかのライ圏,たとえば東南アジアやアフリカなどのどの国が,これだけ施設と経営のゆきとどいている療養所をもっているだろうか。否である。
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