口絵
整形外科における手術とその限度というもの
山本 浩
1
1三井厚生病院整形外科
pp.2-5
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201877
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一般に整形外科にくる場合,手術によってすべて元通りに治り切る様に考えている場合がまだまだ少くない。所が手術というものは決して万能なものではなく,手術をする以上一方に於いては必らずその為めのマイナスというものが存在する。そこで我々は常にメスをとる以前に,手術そのものによる改善事項のすべてと,マイナスのすべてを勘案してから事を決する様にしている。又手術後の相当の長期に亘る後療法というものが,患者自体の積極的な参加がないことには,絶対にその手術は成功しない。そこが虫垂炎の様な,手術だけしておけば,あとは自然に体力で治ってゆくというだけのものと違うことが充分認識されないと,肢体不自由を招来するポリオ(脊髄性小児まひ)にせよ,先股脱にせよ,骨髄炎にせよ,何故こうならぬうちに治さねばならないかという実感がわいて来ないであろうと思う。そこで今回はあまり多くの疾病を羅列せずに,早期(或いは適時)の治療を逸したケースを取り上げてみたい。
この頁に取上げたのは幼年時の治療時期を逸して入院し,手術までに牽引をしたり大いに準備をしておいて,15才で右(向って左)の股関節のコロンナ手術を行ったもので,この側は,(少しく専門的に亘るが)骨頭の発音も①にみる様に比較的良好で,且つこれに対向する骨盤も充分に力源となって体重を受けていた証拠の圧痕があるので,これならば手術はそう悪い結果は予想されない。
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