特集 病歴管理
最少限度の中央診療記録室をつくるには
栗田 静枝
1
1聖ルカ国際病院診療記録室
pp.261-264
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201905
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入院および外来患者の診療記録を中央に集めて管理する,いわゆる診療記録の中央管理制度については,すでに多くの利点が認められ,最近しきりと話題にのぼるが,いまだに中央診療記録室を作ることがむずかしいとか,あるいは作ったとしても運営がスムースにゆかないのではないかなど,危惧の念が強く,なかなか実行に移されないようである。しかしいろいろとお話を伺っていると,実現されない大きな理由の一つには,始めからあまりにも規模(内容外観ともに)の大きなものを計画されるからではないだろうか?欧米の病院を視察なさった諸先生が,スケールの非常に大きい病院の中央診察記録室における働きに目をうばわれ,せっかく作るなら機械化された理想的なものをと考えられるからでもあろう。至極もっともなことではあるが,そのために結局倒底作り得ないということになり,診療記録中央管理の発足がさまたげられているのではないかと思われる。なるほどアメリカの中央診療記録室はスケールも大きく,仕事のほとんどが機械化され,極わめて活動的,能率的ではあるが,診療記録を適確に整理し,かつ安全正確に保管し,医師その他の要請に応じて,必要時,すみやかに正しい診療記録を提出するという診療記録中央管理の基本原理は,それぞれの病院の現状に即して実行すべきはずのものと思う。
極端ないい方をすれば,診療記録中央管理は院長の実施する意志と関係者の一致協力が得られるならば,直ちに実行し得るものといえよう。
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