特集 看護研究を検討する—あるレポートを中心に
検討2
立ち入った質問をされるのは……
吉田 ますみ
1
1聖ルカ国際病院
pp.34-36
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914146
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患者中心の看護ということは,看護婦とすればあたりまえのことである。それなのに,近年さもさも新しく発掘されたアイデァのように重要視され,取り上げられ,もてはやされているのはおかしな話である。要するに,今まではあたりまえのことをあたりまえとして認めていなかったことを意味する。では今までは,患者中心の看護をしないで,どんな看護をしていたのだろうといいたくなる。でもこの事実は,日本の古い封建制度のこのましからぬ一断片を物語っているともいえよう。いずれにせよ,患者中心の看護に目覚めたことは,非常なる進歩といえる。
しかし,これは看護面ばかりでなく,他の面でも同じことがいえるだろう。何でも,患者中心,という言葉による流行的な考え方が真に患者中心になっているか否か,をよほど慎重に考慮してかかる必要がある。その点この研究発表の記録によると,一にも二にもチームナーシング・カンファレンスが重視されているので,一人だけの意見で患者中心の看護につっぱしる危険に陥ることはまずないとわかって安堵した次第である。それは,患者中心の看護の場合には,一人きりでやっているソーシャルワーカーの場合とちがって,誤った患者中心の看護はまず行なわれることはないと考えてよいと思うからである。
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