ニューヨーク留学記・6
アメリカのナースたち・Ⅰ
稲岡 文昭
1,2
1神奈川県立芹香院
2ニューヨーク大学看護学科
pp.84-85
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914126
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昨年9月,私が日本を発った時は,ミニスカートの是非について盛んにマスコミで取り上げられまさに全盛時代といった感じでした。ところがアメリカ大陸に第一歩をしるしたサンフランシスコでまず驚いたことは,景色の美しさ,風俗・習慣のちがいでもなければ金髪美人に魅せられたことでもなく,中学生から40歳に手のとどきそうな中年のご婦人方までミニスカートでさっそうと歩いていたことです。ニューヨークの冬は-10℃という気温がめずらしくないくらいきびしい寒さですが,それでも自信ある女性方はその寒さをものともせず,ミニスカートにブーツで歩いているのには“crazy”としか思えませんでした。流行に何よりも敏感な女性たち,ナースのユニフォームに影響しないはずがありません。オリエンテーションの日,院内教育担当者から“Don't wear mini-skirt”(ミニスカートのユニフォームを着てはいけません)とあらかじめ注意されたことからもうかがえます。
ミニスカートが流行した日本でも,“ミニスカートのユニフォーム”という言葉そのものさえも聞いたことがなかっただけに,いくらアメリカとはいえ,その勢いが病院内にまで及ぼうとしていようとは想像外であり,全く意外でした。少なくとも私の看護学院時代には,ユニフォームのすそは床から30cmときびしく制限され,整列した時にはユニフォームのすそは一直線であったものですが……。
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