特集 看護の論理もとめて
わたしの看護探求
引退,復職のくり返しのなかで
道村 政枝
1
1大阪赤十字病院内科
pp.23-25
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913935
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はじめに
実は,私はこの原稿の依頼を病床で受けとった。一つの身体症状を契機とし,すべての意欲が失われていくことを身をもって体験して,その意志の弱さに,ナースとしての能力を考えさせられていた折のことである。“理想の看護婦とはいかに生きるべきか”の問は,おそらく私が,やがてこの職業を離れる時まで,常に思い悩ませられる問題であろう。自分の能力を考え,その適性を念じながらも,時には異常なまでに悩む,心理葛藤の激しい,1本の葦にすぎない私に,臆面もなく,自己の看護思想が主張しうるだろうか,と躊躇したが,あるいは今日まで,思い悩みながらも歩み続けてきた私の看護遍歴を書きとめてみることによって,私自身の気持を整理するとともに,同じ世代の,同じ悩みを抱く人たちにご教示いただけるかと,思い直して筆をとった。
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