連載 率直なる自己・その5(最終回)
病気と治癒にかかわる問題
早坂 泰次郎
1
,
長谷川 浩
2,3
1立教大学社会学部
2東京少年鑑別所
3立教大学実存心埋学研究室
pp.101-104
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913891
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これまで紹介してきたジャラードの論文を読むと,病気とかその看護治療についての著者の深い人間的洞察にふれることができる。ジャラードは,病気を単に身体生理的側面のできごととは考えないで,人間存在の問題にふれるものとして考えているのであり,その観点にたって,たとえば紋切型の単なる役割行動としての看護を鋭く批判しているのである。もちろん,看護婦の仕事には医療に即した専門技術的なものも大切だが,それにもまして看護婦・患者の双方が素朴に自己開示をしながらありのままの自己でかかわれる関係がつくられるように,まず看護婦の側が努力しなければならないと説いているのである。
本号は,病気と自己の問題を中心的にとりあげている論文「病気にさせる役割と,回復させる取扱い」(Roles That Sicken and Transaction That Heal)を紹介しよう。この論文も,同じく論文集「率直なる自己」に収録されているものだが,1960年11月アラバマ看護婦協会の会合で発表され,のちにカナダ看護雑誌(Canadian Nurse Journal, 1961,7)に掲載されている。
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