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特集 精神療法における治癒機転
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
精神療法における治癒機転の共通性の問題にかかわる治癒の概念の果たす役割について
Certaine idée de la cure pour son application aux psychothérapies variantes
浅田 成也
1
Shigeya Asada
1
1広島大学医学部神経精神医学教室
1Clinique de Neuropsychiatrie, Faculté de Médecine Université de Hiroshima
pp.250-253
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201176
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Ⅰ.はしがき
一般に精神療法では,自己の統制ができ,単一な実在として自己を肯定し,統一的なはたらきのできる,自らによる自律性にかかわる治療目的をもつているということができる。しかし治癒という状態では,その社会性を通じての適応とくに与えられた仕事に没頭できる能力のあることが不可欠要件であり,単に症状にまつわる問題などを通じての意識化による自己の統一に関する過程に治癒機転の問題をしぼるだけでなく,自己の統一ということのなかに,没頭して自己を滅却しうるというはたらきが出てくることにも注目する必要があると思われる。
そこでは,対人関係を通じての意識化にかかわる治癒の概念に加え,自己と対物的対象との間にみられる「はたらき」にかかわる治癒の概念の存在理由と,また両者の概念を通じての治癒機転の共通性の問題に関する課題が注目されることになる。
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