看護婦さんへの手紙
もう一度あいたい看護婦さんたち
戸川 エマ
pp.13
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913738
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いまサラリーマンになっている長男は,昭和16年12月4日に上海の福民病院で生れました。母たちと相談することもできない外地で,しかもはじめてのお産でしたが,あまり心配もしないでいられたのは,大変頼もしい助産婦さんたちと看護婦さんのおかげだったと思います。昭和16年という年は,若い方たちにはピンとこないかも知れませんが,その年の12月8日に,日本は真珠湾攻撃によって,無謀な戦争に突入した年でした。
はじめから病院でお産をすることになっていましたが,当時はテロ事件が頻発して,よく通行止めになるので,いざというとき,病院に行かれないと大変というわけで,幸いうちの近くに派出婦会を経営していらした南さんという,ご自分も助産婦さんの方を知人から紹介されていましたので当日はその南さんが病院にもついてきて下さり,病院側では中国人の助産婦さんが,待機していらしたので,至れりつくせりの中で,長男が生れたのでした。そして附添いとして南さんの会から,これもまたヴェテランの大森さんという中年の方が来られ,全く頼もしい限りでした。
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